“Mother nature” exhibition
Curation
*本展は「ネクスト・キュレーターズ・コンペティション 2021」受賞展として2022.1.15(土)-1.27(木)にN&Aアートサイトにて行われました。
“Mother nature”(母なる自然)という概念があるように、遥か昔から女性と自然は「生命の循環」や「無償の愛」の象徴とされてきました。それはポジティブな側面だけではなく、女性と自然を同一視し、社会が支配した歴史の表れだという見方もあります。一方で2012年に環境哲学者のイオヴォーノと環境人文科学者のオッパーマンが命名した”マテリアル・エコクリティシズム”という考え方は、女性/男性や自然/文化といった、従属/支配という従来の二項対立構造の世界観とは異なり、女性や自然を含む世界の構成要素全てが相互作用するエージェント(行為者)であると捉え、文化芸術の側面からこの世界をオルタナティブに見直すすべを提案しています。
本展はこの考えを支持し、キュレーター自身が近年抱く「日本で自然を題材とするアーティストに女性が多いのはなぜか」という疑問を共有するとともに、作品の鑑賞を通じ、自然や社会と自分との関係性を優しく見つめ直すことを目的としています。そのコンセプトをもって、彫刻、インスタレーション、バイオアートなど、多様なジャンルや手法で自然の尊さを表現する7名の女性作家の作品を展示。会場には“循環”の象徴である落ち葉を敷き詰め、作品や地域、ギャラリーを地続きに調和させることを試みました。
出展作家:Mikiko Kamada、北郷江、木村亜津、齋藤帆奈、辰野しずか、藤瀬朱里、村田美沙 (五十音順)
グラフィックデザイン:maho nishikawa
キュレーション:板橋令子
photo by Aya Kawachi